若さが贈る

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大前研一著『企業参謀』のエッセンスをわかりやすく説明するために、恋愛に置き換えてみることにした。

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企業参謀。

これは戦略コンサルティングファームのトップに君臨するマッキンゼーにて、日本支社一期生としてコンサルティング黎明期に活躍された大前研一さんの代表的著作だ。

コンサルティング業に携わらずとも、その名を聞いたり本を手に取ったりしたことのあるビジネスパーソンは多いのではないだろうか。

 

ここ数年、課題解決に関する書籍やセミナーはブームにあった。

書店に行けば「マッキンゼー式○○」や「BCG式○○思考」といった本が並び、また就活生向けには「課題発見能力」や「ロジカルシンキング養成」といったセミナーがたくさん開かれた。

僕も学生の頃からコンサルティングファームを目指していた身であり、そういったセミナーには参加したし、コンサルの名著と言われている本には一通り目を通した。

その中で確信めいた思いが一つあった。

 

世に出回っている課題解決、PDCAに至るまで、全てこの企業参謀200ページにエッセンスは詰まっているのではないか。

 

こう考えるようになって以来、「思考力を鍛える勉強をしたいんだけど、何を読めばいい?」と聞かれたとき、必ず「企業参謀を読み込めばいいと思う」と答えるようにしている。

しかしこの企業参謀、たった200ページぐらいの厚さであるにも関わらず、「ああ!そういうことか!」と理解するまで、少なからず僕は最初にこの本を手に取ってから2年弱はかかった。

 

おいおい、エッセンスを理解するまでそんな時間かかるのかよ、、、

ということで、今回はこの企業参謀に書かれている戦略を作るうえで大事な部分を伝えるために、身近な恋愛に置き換えて説明してみたいと思う。

 

 

客観的に事象を捉える

 

「あなたのこともっと知りたいです。よかったら今度の休日遊びに行きませんか?」

そう言われて(そんなこと言われるのはよっぽどのイケメンしかいないんだろうけどさ!)あなたはウキウキでデートの計画を立てるだろう。

14時に待ち合わせて今話題の映画を見に行って、映画が終わったら今話題のクレープ屋さんに立ち寄って、クレープを食べ終わったらオシャレな雑貨屋さんを回って、残念だけど夜は用事があるらしいから18時くらいに解散だろうな。。。

 

デートっぽくてメチャクチャいいじゃないか。

もしかしたらなんかもう付き合ってんじゃねーのかくらいの雰囲気だせそうだな、うおおおお、とか思うんかね。

一見半日かけてあなたのことを知ってもらえているような気がするこのプラン。では実際に、このデートプランの中で彼女があなたのことを知る時間は一体どれくらいあるのだろうか。

時間指定が14時から18時まで4時間とある中で、おそらく話せるのは移動中とクレープ屋さんでクレープ食べているときくらい。きっとその唯一限られた時間も「映画面白かったねー」と「このクレープ美味しいねー」という会話で終わる。

となるとだいたいあなたについて話せるのは30分がいいところだろうか。

 

確かに「デートしてる」っていう雰囲気や、「なんとなく経験を共有できている」っていうことも大切なのかもしれないけど、相手の「あなたのことが知りたい」っていうニーズを満たすのであれば、正直このデートプランよりも一時間カフェで話した方がニーズを満たせている。

 

こんな風に「なんとなく目的を満たしてる気がする」というふんわりとした雰囲気をそれぞれの事象に細分化し、「実際にどれだけ目的を満たしているのか」を数字という客観的視点でとらえ直すことが、戦略思考には重要になってくる

 

問題の本質に迫る思考を身に付ける

 

合コンで出会った女性がいて、何回かデートの誘いをしているけど中々OKの返事がこない。

こんなとき、あなたは自分自身に「彼女とデートするにはどうしたらいいか?」という設問をたてると、もう少し時間をおいて誘うや、グループで遊んでから仲良くなってまた誘う、電話してみるなど、色々な案が出てくるに違いない。

実は、この考え方には限界があると考えられている。

それは、設問の立て方が解決思考ではないからだ。

 

確かにこの「どうすればいいか?」という考え方には一応解決案も出るし、先の例で言えばもしかしたらグループで遊んでからまた誘えばOKが出るかもしれない。

だがこれは、相手の女性があなたとのデートを断っている理由、つまり問題の原因を突き止めてから出した解決策ではないため、外れることだって大いにあり得る。

 

ならば、どのような設問を立てればいいのか。

それは、必ず『イエスかノーで答えられる質問をする』ことだ。

 

例えば解決的思考が出来る人間はこのような考え方をする。

「彼女がデートを断っているのは誘っている時間帯が悪いからか?」

⇒NO:なぜなら時間帯が悪いはずなら彼女から別の日程を提案してくるはずだが、その提案がない。

「では映画に誘っているが彼女は単に映画に興味がないのか?」

⇒NO:この前の合コンでは月に1回は映画館に行くと言っていた。興味がないはずはない。それに加えて直近で映画を見に行っていないと言っていたから、ニーズとしてはあるはずだ。

「ではまだ二人で会いたい、異性として意識されていないということか?」

⇒YES:ここで今回デートに誘えていない問題の本質的な理由が”まだ異性として認識されていないこと”だということがわかり、集団で遊ぶという戦略を考えることが出来る。

 

みたいな感じで。

 

 

戦略の作り方

 

戦略の作り方は大きく3ステップある。

まず戦略を立てるにあたって、目標・期待値を的確に把握しなければならない。

それは、あなたが意中の女性と付き合いたいのか、友達以上恋人未満の関係でいたいのか、付き合うとしたらクリスマスまでに付き合いたいのか、それとも1年かかってでもいいから付き合いたいのかなど、いつまでにどんな状態になっていたいのかを明確にする必要があるということだ。

 

次に、現状でこのまま時間が過ぎていくとどうなるかを適切に分析する

今彼女とはラインだけのやり取りでデートは断られているようだったら、例えば三か月後に付き合うという目標を立てていた場合、その調子だといづれラインすら返ってこなくなるという分析になるだろう。

となると、結果としてあなたは三か月彼女とは付き合えないわけだ。

 

そして、この生まれた目標と現実のギャップを埋めるために必要なってくるのが戦略だ。ここでようやく、上で説明した物事を客観的に捉えることと、問題の本質に迫る考え方が生きてくる。

今の例で言えば、残り3カ月の間にグループでBBQに行くプランを作ったりみたいなことをやっていくわけだ。

 

ざくっとだが、これが戦略を立てるための主要な3ステップだ。

 

 

最後に

 

とまあこんな感じで説明したが、ちゃんとまとめると企業参謀で大切だと思うエッセンスは3つ。

 

①主目的を認識したうえで、雰囲気ではなく各要素に分解しその要素が主目的に対してどんな働きをしているかを的確にとらえることが重要である。

②常に「イエスかノー」で答えられる質問を置き、問題の本質にたどりついてから解決策を提示する。

③戦略とは、目標と現況を把握しそのギャップを埋めるためのものである。

 

 

正直なところ安いし薄いので、ぜひ手に取って読んでみてほしい。

 

企業参謀 (講談社文庫)

企業参謀 (講談社文庫)