リーダーの仕事とは夢をみさせること。-20代のうちに考えるリーダーシップとは。
2年前、僕は九州の金融機関で働いていた。
入社1年目の秋は、17年くらいに一度しか来ないシルバーウィークとやらで暇を持て余していた。そんな時、とあるご縁でこれから古民家をリフォームしてカフェを始めようとしている女性に出会った。
「人手が足りないから手伝ってほしい」という話に、2つ返事でOKした。
古民家は森の中にあって、まさかの竹を切ったり土をはわいたりからカフェづくりは始まった。初めての体験、新たな人達の出会いが楽しかったこともあったが、自分がカフェ作りに携わっているってことに完成の日をイメージしながらワクワクしていた。
そして3カ月くらいして、オープンの日を迎えた。
初期から関わっていたカフェが遂に開店する感慨に耽ると同時に、自分がこの数カ月間、「ここに人々の交流の場を作る」という彼女の夢に乗っかっていたことに気が付いた。その時、自分が夢に乗っかている側であることが悔しかった。そんな気持ちの中、ふとリーダーについて思いを馳せた。
社会人になって思う。
リーダーには2種類のタイプがいると。
それはチームマネジメントが得意なタイプと、夢に乗っけてくれるタイプ。
マネジメントタイプは会社の役職がついている人達を意識したらイメージしやすい。
支店長代理とか、課長とか。
このタイプの人達は、与えられたプロジェクトで結果を出すためにチームの力を引き出す能力が総じて高い。モチベーションを引き出したり、チームの調和を保ったり。なんというか、縁の下の力持ち的な感じ。
よく就活やビジネス本で言われるリーダーシップって、こっちのタイプが近いんじゃないのかな。
次に夢に乗っけてくれるタイプのリーダー。
これはもうジョブズさんが直近では一番イメージし易いと思う。
『iPhoneが世の中を絶対に便利にするんだ』って強烈なビジョンの元で、ガンガン周りが巻き込まれていった。
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僕のカフェの話もそう。
地元に交流の場を、地元で頑張っている人達が発信していける場を作りたい、そんな強い想いに共感したり、ワクワクしたりした人たちが集まって、彼女の夢に乗っかった。
そういえば、SPIの言語のテストに”リーダーは酒場のおやじだ”みたいな文章があった。
リーダーは部下を惹きつけるために夢を語らなくてはならず、その姿は酒場で酔っ払って熱く夢を語るおやじにそっくりだ、って内容だったと思う。
この話には続きがあって、ただ語るだけではダメだと著者は言う。
熱のこもっていないとりあえずの夢なんかに、部下は共感しないって。
生き生きと、それが実現した時にどれだけの喜びが待っているかが感じとれるように、熱くビジョンを語ることが大切だと。
たしかにその通りだと思う。
ただ、僕はこれに1つ付け加えたい。
それは、あなたの語る夢がどんな夢かということ。
自分のための夢なのか、誰かのための夢なのか。
綺麗ごととかじゃなくて、本当にここが大切なんだとつくづく思う。
極端だけど、例えば俺は東大に行って一流企業に勤めるんだって夢。
応援は出来るけど、他の人はその夢を共有出来ないじゃん。
反対に地元の芸術家たちの作品を紹介出来る場を作りたいって夢。
同じようなことを問題視していた人なら、その夢に共感できるし、達成した時の結果を共有できるから自然とついていける。
今や企業ではリーダーシップだの、ダイバーシティだの、チャレンジ精神だの、ごもっともな言葉が求める人物像として並べられる。
自己分析で自分の学生時代を振り返った時に、俺にはリーダーシップがないって落ち込む。
就職してから自分より優秀な人の中に埋もれていって、俺にはリーダーシップはないと一線を引く。
こうやって、自分はリーダーにはなれない人間なんだって、無意識のうちにイメージ形成していく。
それが悪いと言いたいわけじゃない。
別にみんながみんなリーダーである必要はないし、リーダーじゃない人が劣ってるなんてこれっぽちも思わない。
だけど、誰かの為に何かしたいと思って一歩踏み出したなら、皆そこからリーダーだってこと、ただそれだけは伝えたい。
- 作者: 伊賀泰代
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マッキンゼーの人事で採用活動に尽力した伊賀泰代さんの本。
タイトルは採用基準だけど、内容はほとんどリーダーシップについて。
中身を一言でいうと、集団に影響を与えられればどんなことでもリーダーシップなんです。