日本一の速さと美しさを決める、"ふんどし脱ぎ方コンテスト"に参加してきた。
ーふんどし。
それは日本の文化を代表する伝統的な下着だ。近年健康の観点から注目を浴びだしているという。
そんなふんどしを速く美しく脱ぐ日本一を決めるという"ふんどし脱ぎ方コンテスト"が、伝統とは正反対の若者文化の発信の地である渋谷で開催されるという噂を聞きつけた。その粋な計らいに早くも心を打たれてしまっていた。
だが、ふんどし脱ぎ方コンテストとはなんだ?
そんな疑問を解決するために、ふんどし脱ぎ方コンテストで日本一を目指す選手達、ふんどしニストの間で「キング・オブ・ふんどし」と伝説の称号で崇められている「ふんどしやさしいマン」が紹介動画を作成しているようなので、ご覧いただきたい。
というか、一分程度なので必ず目を通してほしい。
ふんどしの上手な脱ぎ方 How to put off Fundoshi-Japanese traditional underwear
美しすぎる。
これは是非とも日本一の称号をわが手に収めたい。そう思い、出場を決意した。
試合は日曜日の夜8時からだった。観客席を見渡すと50人程度はいる。
日曜日の夜にまだまだマーケットとしてはニッチなふんどしの分野でこれほどまでの人数が集まったことは、これからのこの競技のとてつもない可能性を示唆している。
そして、今回の決勝大会に集ったふんどしニストは9名。加えてふんどしやさしいマンで計10名だ。
ルールはAブロックBブロックCブロック各三名のトーナメントから、各ブロック代表者の三名で決勝大会を行い、そこで勝利したものがふんどしやさしいマンに挑戦権を得るというものだ。
審査員はこの場でその名を出すのが憚られるくらいの、超絶スーパー社会人の方々3名だった。
試合が始まり、僕はCブロックでの参加だった。
Aブロック、Bブロックと、ふんどしニストのみんなが各々修練して作り上げた技を披露していく。そのレベルの高さに、ここで勝ち上がるためにはふんどしやさしいマンの「さよならも言わずに」を超える大技を使うしかないと確信していた。
その技は、明鏡止水。この技を完成させるため、10年間書道に取組み自分や相手の心までも映し出す芸術の極みを体得し、14年間剣道での厳しい修練を通じ無心の境地に達し、そして京都での瞑想を経て完全体に昇華させた。言葉通り人生の全てを注ぎ込んだ大技だ。
ただ、未だに成功率は5割程度だった。加えて肉体美からなる芸術点を挙げるためにここ一か月で5kgの増量を行っていたため、コンディションも良くない。
勝利をもぎ取るため、一か八かの賭けにでたが、まさかの技のフィニッシュ手前でふんどしを脱ぎ損ねるという失敗をおかしてしまった。
判定は、福島からの刺客であるふんどしニストの「福島のコメはうまいって」に2票、失敗しながらの明鏡止水に1票頂きの完敗だった。
最終的にふんどしやさしいマンへの挑戦権を得たのがこの福島からの刺客だった。決勝戦では「行きつけの居酒屋」という脱いだふんどしをものボケに使うという新たな発想で観衆の心を鷲掴みにし、「波動拳」にてふんどしやさしいマンの「昇竜拳」と互角の戦いでドローに持ち込み、最後には「いつもありがとう」という友への感謝を表現したなんとも心が洗われるような美しい技を披露し、勝利を勝ち取った。
最強の挑戦者を迎え撃つために新技を披露するふんどしやさしいマン
この大会は年に一度しか行われていない。
興味をもたれた方は、ふんどし買って、あと一年、技を磨いて会場で会いましょう。
※コンテスト主催者:褌部